ツバメ

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春になるとツバメがやってきます。今は廃屋となったかつての私の実家にも、このころになると玄関の土間の隅につがいが巣を作り子育てに励んでいました。でも今ではもうあまり見かけなくなりました。古くから彼らが住まう家には幸運が訪れると言われる、そんな渡り鳥です。ツバメは天敵のカラスから身を守る為に人のそばに巣を作り、人々はツバメに田畑の害虫を駆除してもらい、ともに寄り添いながら生きてきました。しかし、やがて時とともに、人々の暮らしが豊かになって、近代化された街並みにツバメたちの入り込む余地が少なくなり、床に落ちる糞も迷惑がられ、いつしかツバメは、人々から疎まれるようになって、少しずつ姿を消していきました。私たちの豊かな暮らしと引き換えにつばめが暮らす場所が無くなってしまったのです。ヒトという生き物が豊かになることで、周りに対して段々と不寛容な生き物になってきていると思われてなりません。私たちは、ヒトと、そしてすべての生きとし生けるものたちが共生して生きられる世界を、もう一度取り戻す術を考えてみる必要があるのではないかと思います。

そして今、行き場を失ってしまったのはツバメたちだけではありません。ウクライナの人々も不寛容で理不尽な他国の為政者によって、暮らす場所を無くし行き場を失っています。この曲を聴くと、なぜかウクライナの空に思いが馳せるのは私だけではないはずです。

先日、久々に近所のTSUTAYAに行くと、YOASOBIの「THE BOOK 2」というアルバムがレンタル棚に並んでいるのを見つけ、早速借りてみました。その1曲目を聴いていると何故か目頭に熱いものを感じました。「ツバメ」という歌は、全国の子供たちから歌の原作物語を募集するプロジェクト「YOASOBIとつくる 未来のうた」でグランプリに選ばれた、乙月ななさんの「小さなツバメの大きな夢」が原作だそうです。

*** ツバメ 歌詞 ***

煌く水面の上を

夢中で風切り翔る

翼をはためかせて

あの街へ行こう

海を越えて

 

僕はそう小さなツバメ

辿り着いた街で触れた

楽しそうな人の声

悲しみに暮れる仲間の声

 

みんなそれぞれ違う暮らしの形

守りたくて気付かないうちに

傷付け合ってしまうのはなぜ

同じ空の下で

 

僕らは色とりどりの命と

この場所で共に生きている

それぞれ人も草木も花も鳥も

肩寄せ合いながら

僕らは求めるものも

描いてる未来も違うけれど

手と手を取り合えたなら

きっと笑い合える日が来るから

僕にはいま何ができるかな

 

誰かが手に入れた豊かさの裏で

帰る場所を奪われた仲間

本当は彼も寄り添い合って

生きていたいだけなのに

 

悲しい気持ちに飲み込まれて

心が黒く染まりかけても

許すことで認めることで

僕らは繋がり合える

 

僕らにいまできること

それだけですべてが変わらなくたって

誰かの一日にほら

少しだけ鮮やかな彩りを

輝く宝石だとか

金箔ではないけれど

こんな風に世界中が

ささやかな愛で溢れたなら

何かがほら変わるはずさ

同じ空の下いつかきっと

それが小さな僕の大きな夢